シミのお悩みは20代後半から増えてきます。顔にシミがあるだけで、老けて見えるせいか、30~50代女性の肌悩みのトップ3に「シミ」が入っており、シミを薄くしたいと願う女性が多いようです。今回は、シミの種類とそれぞれのケア方法、シミ予防のためのセルフケア方法、エステサロンのシミケア、クリニックでのシミ治療まで、徹底解説します。
聖マリアンナ医科大学医学部付属病院皮膚科、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院皮膚科にて勤務したのち、医療法人社団奏愛会 おおふな皮膚科など皮膚科クリニックにて研鑽を重ね当クリニックにて勤務。
シミの種類は6種類!代表的なシミを解説
シミといわれるものにはいくつかの種類があります。その種類によって、治療法やケア方法が異なります。
・老人性色素斑
一般的にシミと呼ばれ、丸い形など正常な皮膚との境界がはっきりしているものです。若い頃に紫外線をたくさん浴びた方はこのタイプのシミが多く、シミも濃い傾向にあります。
シミが濃くなるにつて、一般的な美白化粧品で薄くするのは難しくなります。医療機関専売の濃度の濃いハイドロキノンクリームは効果を示しますが、時間がかかります。
美容クリニックでのレーザー治療や光治療(フォトフェイシャル)が適応になります。
・そばかす
目の下や鼻などにできる細かい色素斑です。拡大して見ると綺麗な丸というよりは四角だったりひし形の形をしていることが多いです。遺伝要素も強く紫外線で悪化します。
遺伝要素が強いため、幼少期から出てくることもあります。
そばかすは美白化粧品では効果は出づらいと言われており、光治療(フォトフェイシャル)が適応です。そばかすは再発しやすいのが特徴です。
・肝斑
女性ホルモンや紫外線、摩擦の影響で起きる、左右対称の淡いシミです。茶色チークを薄く塗ったようなぼやけたシミで、目の下や頬、額、口のまわりなどにできることが多いです。
肝斑は女性ホルモンの影響を受けるため、月経前や寝不足の時、体調が悪い時、更年期などに頬に淡いモヤモヤとしたくすみが出てくることがあります。特に、妊娠出産を経て、出てくる方や、それがキッカケで悪化することもあります。20代後半頃より出てくることが多いです。
普段は気にならなくても、日によって濃さが違ったりもします。
ホルモンバランスによるものなので、閉経すると何年もかけて徐々に薄くなり消えてしまいます。
肝斑は、外的刺激で悪化するため、こすると酷くなります。さらに、紫外線の影響を受けるので夏は悪化しやすい傾向にあります。
肝斑治療の第一選択は、内服薬と外用薬です。内服薬は、トラネキサム酸という成分の薬を継続して飲みます。用法用量は医師の指示に従いましょう。
外用薬は、ハイドロキノンが用いられます。外用して、すぐに効果がでるものではないので、半年以上など継続して外用する必要があります。美容医療でも、肝斑に使われる機械もありますが、まずは内服外用薬が優先されます。
・炎症後色素沈着
傷跡や、やけどの跡、ニキビ跡など炎症を起こした後の赤味から茶色く残るものです。炎症が強ければ強いほど、色素沈着として残りやすいです。また、炎症を起こしている時に、紫外線に当たると色素沈着として残りやすいです。
年齢は特に関係ありませんが、20代ではターンオーバーが整っているため傷跡として残りにくいですが、加齢とともに代謝が悪くなると色素沈着しやすいです。
治療法は、まずは何もせず様子を見ることです。紫外線と摩擦を避ければ時間はかかりますが年々少しずつ薄くなります。
基本的にレーザーなどの適応にはならないため、経過を見ていくか、ハイドロキノンクリームの外用を利用するかになります。
・脂漏性角化症
盛り上がりのある、老人性のイボです。
こめかみや顔の側面などにできやすいです。顔だけではなく、手や首など紫外線が多く当たる場所に多いです。50代以降にできやすいですが、紫外線を浴びる量に比例するので、若くてもできることがあります。
治療法は、皮膚科での液体窒素による凍結療法や、麻酔をして電気メスなどで削っていく方法があります。
液体窒素での治療は色素沈着になる可能性があり、電気メスで削る方法だと擦り傷のようになるので一定期間テープを貼っておく必要があります。
・真皮メラノサイトーシス
真皮内にメラニンを作る細胞が増え、頬や額の両側に現れます。そばかすより少し大きいくらいのグレーから青みがかった褐色の斑点が両頬に出るアザの一種です。
治療法は、レーザーによる治療です。
老人性色素斑の治療と比べると効果を感じるまでの期間は長く、レーザーを照射してからシミが薄くなるまで数ヶ月かかるといわれています。
3ヶ月に1回、合計2〜3回のレーザー治療が必要です。(個人差があります)
これらは、全て「シミ」と呼ばれるものです。それぞれの種類によって治療法が異なります。そして、対称性真皮メラノサイトーシス以外は全て、紫外線により悪化します。
また、「シミ」と診断できるのは医師のみですので、カウンセリングを受け、適切な治療を受けることが大切です。
今の所、どんな治療でも、出来たシミを消しゴムで消すように、無かったものにすることはできません。シミ治療は、シミを薄くする、全体的なトーンアップをする、くすみをとるもの、と思って治療を受けましょう。
プロが教える!自宅でできる簡単なシミのケア方法
自宅でできるシミケアは、今しているスキンケアを見直す事から始まります。正しい日焼け止めの塗り方、クレンジング方法、洗顔方法をお伝えします。
シミケアには、正しい紫外線対策で、日焼け止めを正しく塗りましょう。
日焼け止めの正しい塗り方
①日焼け止めは1円玉~2個分を2回に分けて使用します。(顔の大きさにより量は変わります)
②顔全体にむらなく使用します。少なくとも2~3時間おきに塗り直しましょう。
③1円玉大を手に取り、額、鼻、両頬、顎に分けておき、むらなく伸ばしていきます。
④残りの半分を同じように重ね付けしていきます。日焼けしやすい場所(額・鼻筋・頬骨など)は念入りに塗りましょう。耳の裏、首元、えりあし、生え際は、塗り忘れが多い場所ですのでしっかり塗っていきます。
⑤パウダーファンデーションを塗ります。
シミはそもそも外的刺激からDNAを守るための反応です。そのため、紫外線を含め刺激が加わると、より体を守ろうとシミは濃くなります。そのため、正しいスキンケアでも特に刺激を与えないスキンケアが大切になります。 スキンケアの中で、クレンジング洗顔で、いかに摩擦を加えないかがポイントになります。
正しいクレンジング方法
アイメイク、リップメイクは必ずポイントメイク落としを使用します。通常のクレンジングオイルでは洗浄力が弱く、ポイントメイクが落ちないことがあり、落とそうと擦ってしまう可能性があるからです。
目元はメラニンを作る細胞が多いため色素沈着になりやすいので、アイメイクを落とす時は特に摩擦に気を付けましょう。
①ポイントメイク落としをひたひたにコットンに湿らせます。そのコットンを目元と口元に乗せます。
②コットンをゆっくり左右に動かし、化粧を落とします。この時、絶対にこすらないようにします。まぶたは皮膚が薄いため色素沈着の原因になります。
③綿棒にリムーバーを染み込ませ、コットンを目の下に置き、マスカラとアイラインを落としていきます。
④クレンジング料を適量の半分の量をTゾーンからのせ、指の腹でなじませていきます。
⑤残りのクレンジング料を取り、Uゾーンに指の腹で伸ばし、なじませます。
⑥(ポイントメイク落としで汚れが落ち切っていなかったら)目元と口元になじませていきます。
⑦ぬるま湯で手早く洗い流します。
正しい洗顔のやり方
①初めに、手と手の間に泡のクッションが1㎝できる位に、洗顔料を泡立てます。このひと手間がとても重要になります。手と肌は触れず、泡を転がすように洗うためです。この手と肌の摩擦も皮膚への刺激になります。
②Tゾーンに泡をのせ、なじませていきます。
③Uゾーンに泡をなじませ、最後に目元、口元を洗顔します。
④ぬるま湯で手早く洗い流していきます。
この正しいクレンジングと洗顔がシミやくすみの予防、悪化を防ぐホームケアになります。
エステサロンでのシミケアとその効果
エステサロンでのシミケアには、ピーリングや美容成分を機械で導入する方法や、フォトフェイシャルなどがあります。
エステサロンのフォトフェイシャルは、光フェイシャルなどと呼ばれることが多いです。光フェイシャルの照射は、出力に制限があるため、クリニックでの光治療に比べ、効果を実感しにくい人もいます。シミの治療というよりも、コラーゲンを活性化したり、肌のハリやツヤを出すといったトリートメントとして捉えた方がよいかもしれません。
エステサロンでのシミケアは、月に1回など、定期的なメンテナンスが必要です。価格は1回およそ5,000円~と手頃な価格で受けられるのがメリットです。
クリニックでのシミ治療の種類、効果、費用について
クリニックでは医師の指示のもと、看護師が施術をします。クリニックで使用する医療機器は高い出力で治療ができます。その方の肌の悩みによって照射する光出力の設定を変えるため、効果を実感しやすいです。
クリニックで行うフォトフェイシャルは、老人性色素班、そばかすに適応されます。
通院は、月に1回を5回は継続することをおすすめします。費用は、土地柄やクリニックによって異なりますが、およそ15,000~30,000円のクリニックが多いです。
肝斑や色素沈着のように薄いシミに関しては、ピコトーニングが使われる事が多いです。この機械はレーザーであるためエステサロンで扱うことはできません。薄いシミは、効果を実感するまでに回数がかかることが多く、月に1回を5~10回など継続していく必要があります。価格は差が大きく、およそ1,000~50,000程度が相場です。
機械での治療以外には、ハイドロキノンクリームが用いられます。ハイドロキノンは、市販でも購入することができますが、医療機関で扱っているものは美白成分濃度が高く、肌にトラブルがあった際も医師にすぐに相談でき、副作用の重症化を避ける事ができます。
セルフケアとエステとクリニックでの治療はどれがよい?
正しいスキンケアをしたり、美白化粧品を使用することはシミの予防と悪化させないためにはとても重要です。定期的なエステでのトリートメントも、美肌を保ち、贅沢な時間を過ごしたい方にはよいでしょう。
ホームケアやエステでの施術では効果を実感できず、ピンポイントでシミを薄くしたいという方には、クリニックでのシミケアをおススメします。
専門家が教えるシミケアの本音を大暴露
市販の商品は、化粧品に分類されるのか、医薬部外品に分類されるのかで、有効成分の濃度が異なります。
市販で販売されているシミ取りクリームや、化粧品として販売されている化粧品は、有効成分の濃度はあまり高くありません。医薬部外品である美白化粧品に関しては、その有効成分がシミに対する一定の効果が認められています。
市販の商品を選ぶ時は、パッケージや価格だけでなく、分類も注意して見てみましょう。
保険適用可能なシミ治療もある?
後天性真皮メラノサイトーシスに関しては、使用する機器によって健康保険が適応されるので、カウンセリング時に聞くことをおすすめします。
まとめ
シミには、様々な種類があり、その種類によって治療法も異なります。自分のシミがどの種類に当たるのかを自分で判断するのは難しいです。シミ治療の機械もたくさんあり、価格や治療期間なども様々です。シミ治療に詳しく、丁寧に説明してくれるクリニックを選びましょう。