この記事の監修者
聖マリアンナ医科大学医学部付属病院皮膚科、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院皮膚科にて勤務したのち、医療法人社団奏愛会 おおふな皮膚科など皮膚科クリニックにて研鑽を重ね当クリニックにて勤務。
脱毛を検討していても、エステサロンと美容クリニックの脱毛ではどちらがよいのかや、本当に脱毛効果が実感できるのか気になるところですよね。
長期的な脱毛効果を期待する場合には、適切な時期に正しいケアをして施術を受けることが重要です。この記事では、脱毛で効果を実感しにくい理由や効果的な回数、注意点などについて専門家が詳しく解説します。
脱毛は効果がない?効果を実感したい人は医療脱毛!
高い脱毛効果を期待したい場合には、医療脱毛を選ぶことをおすすめします。これは、主にエステサロンで行われる「光脱毛」と比較して医療脱毛の方が機器の出力が高く、高い脱毛効果を期待できるためです。
医療脱毛 | エステ脱毛 | |
---|---|---|
メリット | 脱毛効果が高い 期間や回数が少なくすむ 有資格者が施術をする トラブル時のアフターフォロー |
1回で広範囲の脱毛が可能 低価格のことが多い |
デメリット | 価格が高くなることも | 脱毛効果を感じにくい 期間や回数が必要 |
光脱毛は「フラッシュ脱毛」とも呼ばれ、その名の通り脱毛したい部位に特殊な光を当てて脱毛する方法です。一回の施術で広い範囲に照射でき、医療脱毛と比べ低価格で受けられるというメリットがあります。
しかし、デメリットとして、出力が弱いため脱毛効果が感じにくい点が挙げられます。そのため医療脱毛と比較して治療期間や回数が多くなってしまうことも多いのです。一回当たりの金額が低めでも、回数を重ねるためかえって高額になってしまうといったケースもあるかもしれません。
一方、医療脱毛は光脱毛より強い出力でレーザーを照射し脱毛効果を図る方法です。医療機関で専門の資格・経験を保有する医師または看護師のみが施術を行うことができます。医療脱毛のレーザーは、黒い色素(メラニン色素)のみにピンポイントで反応するため、照射した部位の毛根を破壊し、永久的な脱毛効果が期待できます。
高い効果が期待できる一方、出力が強いため光脱毛よりも痛みが強く、なかには照射した部位が赤くなったり腫れたりすることもあります。しかしこのようなトラブル時にも、医療機関であるためアフターフォローが受けられる点もメリットの一つといえるでしょう。
医療脱毛は光脱毛と比較して一回当たりの金額が高額であることも多いですが、高い脱毛効果が期待できるため、治療期間や回数も少なく済むことが多いでしょう。金額だけでなく、永久的な脱毛効果を期待したい場合には、医療脱毛を検討してみましょう。
脱毛の効果を感じない原因とその解決策
「せっかく脱毛したのに、また生えてきてしまった」
このようにお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。高い脱毛効果が期待できる医療脱毛でも、毛質や施術を受ける間隔、普段のお手入れの方法によっては、脱毛効果を感じにくいこともあります。
ここでは脱毛の効果を感じない原因とその解決策を紹介します。
産毛や茶色っぽい毛、白い毛がある
産毛や茶色っぽい毛、白い毛は脱毛効果を実感できるまでに時間がかかるケースや、効果を感じられないことがあります。これは、医療脱毛のレーザーが黒い色素に反応する性質があるためです。
医療脱毛のレーザーの特徴から、「太い毛」や「黒い毛」は反応しやすく、脱毛効果を実感しやすいといえます。しかし、「産毛」や「白い毛」「茶色っぽい毛」は反応しにくく、脱毛効果を実感しにくいのです。
一般的に、医療脱毛では白い毛の毛根は破壊することができず、細い毛や茶色っぽい毛は出力を高めてレーザーを照射したり、回数を重ねたりする必要があります。このような場合には、施術時に医療スタッフに相談してみましょう。
毛抜きなどの処理をしている
医療脱毛では、毛抜きによって自己処理してしまった毛は脱毛できません。レーザーは毛根に反応して照射するため、毛抜きをして毛根がなくなった状態ではレーザーが反応しないのです。
医療脱毛を受ける前は、毛抜きではなく剃毛をし毛根を残した状態で施術を受ける必要があります。施術前に毛抜きで自己処理をしてしまった場合には、そのことをクリニックに伝えて施術する日を伸ばしてもらうほか、次回以降は毛抜きをしないよう注意しましょう。
毛の生えるサイクルに合わせていない
毛の生えるサイクルに合わせず脱毛を受けると、脱毛効果が得られないことがあります。医療脱毛では、毛の生えるサイクル(毛周期)で「成長期」にあたる毛のみに効果が期待できます。
毛周期とは、「成長初期」「成長後期」「退行期」「休止期」という4段階で毛が生え変わるサイクルのことを指します。このうち、メラニン色素がしっかりと存在する成長期が最も脱毛効果を実感しやすく、メラニン色素が薄い退行期や休止期には脱毛効果が実感しにくいのです。
一般的に、ワキでは4ヶ月程度の成長期を経た後、3ヶ月程度の休止期に入り、VIOでは1〜2年の成長期の後、1〜1年半程度の休止期に入るといわれています。しかし、これには個人差があり、ご自身で判断することは難しいでしょう。
脱毛したい部分に日焼けをしている
脱毛したい部分に日焼けしている場合には、脱毛できない場合があるほか、脱毛効果を実感できないことがあります。
医療脱毛のレーザーは黒い色素に反応するため、日焼けしている場合には肌へのダメージが強くなり、施術できないことがあるのです。
また、このような状態でも施術を受ける場合には、出力を弱めてレーザーを照射する必要があるため、高い効果が期待できないケースもあります。
脱毛期間は日焼けしないよう十分な配慮が必要です。日焼け止めのほか、帽子や日傘などを使用するなどして対策をとりましょう。
出力が低い
医療脱毛で効果が実感できないのは、出力の低さが影響していることもあります。脱毛機は出力の強さによっても脱毛への効果が変化します。そのため、痛みを気にするあまり、出力を下げ過ぎてしまうと、脱毛効果が弱くなってしまうことがあるのです。
痛みが強く辛い場合にはスタッフに伝えた方がよいですが、出力を下げ過ぎてしまうことも避けた方がよいでしょう。クリニックによっては痛みに配慮して麻酔クリームを使用できることもあるため、確認してみましょう。
脱毛は1回では効果を感じない?効果を実感できる時期
高い効果が期待できる医療脱毛ですが、一回の施術では希望の脱毛効果を実感することは難しいでしょう。医療脱毛では、施術回数を重ねるごとに毛根が再生されにくくなり、結果的に毛が生えなくなります。
そのため、永久的な脱毛効果を期待したい場合には、複数回の施術を受ける必要があります。効果を実感できるまでは3回程度、長期的な脱毛効果を期待する場合には5回以上の施術を受けることをおすすめします。
脱毛効果は毛質や脱毛したい箇所によっても異なるため、施術回数は経過に合わせてクリニック医師までご相談ください。
脱毛の効果に関するQ&A
ここでは脱毛の効果に関するよくあるQ&Aを4つ紹介します。施術を受ける際の参考にしてみてください。
施術後の注意点はありますか?
施術直後は熱い湯温での入浴やシャワー、日焼けなどは控えてください。施術後は照射部位に炎症が生じている状態です。体温を上げたり刺激を与えたりすると、炎症が悪化する恐れがあります。炎症によって乾燥しやすい状態でもあるため、十分な保湿も心掛けましょう。
施術前の自己処理はどうやって行えばよいですか?
施術前の自己処理は、電気シェーバーで行うことがおすすめです。電気シェーバーはカミソリなどと比較して肌への負担が少なく、効率的に広範囲の毛を処理することができます。
一方、脱毛クリームや毛抜き、脱毛ワックスでの自己処理はしないようにしてください。脱毛クリームは肌への刺激が強く、炎症の原因になることがあります。また、毛抜きや脱毛ワックスを使用すると毛根が除去されてしまい、脱毛効果が期待できないため注意しましょう。
ニキビがあっても脱毛できますか?
ニキビがある場合には、化膿しているものや炎症が強い場合には施術ができないことがあります。これはレーザーを照射する際の刺激により、ニキビの炎症を悪化させる恐れがあるためです。ニキビがある部分を避けて施術できる場合もありますが、ニキビの状態によって施術自体ができないこともあるため注意しましょう。
一方、ニキビ跡がある部分には施術することができます。脱毛機器によっては、ニキビ跡を改善させる効果が期待できることもあります。当院で使用している「ダイオードレーザー」もニキビ跡への効果が期待できる機器の一つです。
脱毛効果が実感しにくい部位はありますか?
フェイスラインやうなじ、体幹、二の腕、太ももなどは他の部位と比較して脱毛効果が実感しにくいことがあります。これらの部位は産毛が多く、レーザーが反応しにくいためです。
しかし、だからといって全く脱毛効果が期待できないわけではありません。施術を繰り返すごとに毛根が再生されにくくなり、毛が薄くなっていくことを実感できるでしょう。このような部位の毛にも合わせた出力や施術回数も、クリニック医師にご相談ください。
医療脱毛で長期的な脱毛効果を実感しよう
今回は、医療脱毛と光脱毛との違いや、脱毛で効果を実感しにくい原因、その対策について紹介しました。長期的な脱毛効果を期待したい場合には、医療脱毛を選ぶことをおすすめします。また、施術を受ける際は日焼けや毛抜きでの自己処理を避けるほか、毛周期に合わせて施術を受けることが重要です。
当院では、毛質や周期に合わせた脱毛の適切な施術回数・頻度をご提案します。脱毛が初めてという方やわからないことがあるという方も、まずはお気軽にご相談ください。
<筆者プロフィール>
今江 美緒
エステティシャンとして勤務後、看護師に転身。がん専門急性期病院、慢性期病院で勤務後、フリーランス看護師として活動しながらライターとして健康や美容、医療に関する記事執筆を行う。
自身が難病の皮膚病「酒さ」を患い完治させた経験を持ち、さらに美容と医療現場での経験から、皮膚疾患への知見や皮膚理論の知識を習得。自身でも歯列矯正、医療脱毛、ヒアルロン酸注射などの美容医療の治療経験を持つ。