レニスナはポリ乳酸とヒアルロン酸を含む製剤で、線維芽細胞を刺激しコラーゲンを生成します。レニスナは肌の深い部分に注射することで、ほうれい線やマリオネットラインなどの深いしわや、頬のコケに効果が期待できます。
レニスナは効果の持続期間が1年半~2年程度と長く、安全性が高い成分を使用しているという特徴があります。この記事では、レニスナの効果や特徴、ほかの製剤との違いについて解説します。美容医療を検討していても、レニスナを含めてどの治療を受けたらいいか迷っている方もいるでしょう。「レニスナを使ってみたい」「レニスナが自分に合っているか分からない」という方は、ぜひ最後までお読みください。
聖マリアンナ医科大学医学部付属病院皮膚科、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院皮膚科にて勤務したのち、医療法人社団奏愛会 おおふな皮膚科など皮膚科クリニックにて研鑽を重ね当クリニックにて勤務。
レニスナ(ジュベルックボリューム)とは
レニスナとは、ヒアルロン酸とポリ乳酸(PDLLA:Poly-DL-lactic acid)を組み合わせた製剤です。韓国では「ジュベルックボリューム」とも呼ばれています。
レニスナは次のようなお悩みに使用されています。
- ●皮膚の深い凹み、しわ
- ●自然なフェイスラインの形成
- ●深い傷跡の治療
レニスナには特許技術により長期的なコラーゲン生成の効果が期待できるのが特徴で、効果は1年半~2年程度続くと言われています。また、レニスナは20代から80代まで幅広い年齢層の方に施術が可能です。
※レニスナは医薬品医療機器等法上、未承認の治療法です。保険適用外のため、自費診療となります。
レニスナの効果
レニスナに期待できる効果には、次のようなものがあります。
- ●深いしわ(ほうれい線、マリオネットラインなど)
- ●頬のコケ
それぞれの効果について解説します。
深いしわ(ほうれい線、マリオネットラインなど)
レニスナは、深いしわにお悩みの方におすすめの治療です。
ほうれい線、マリオネットラインなどの深いしわは、肌が老化しハリを失うことで起こります。レニスナに含まれるポリ乳酸が、線維芽細胞によるコラーゲンの生成を促進し、肌にハリをもたせることが可能です。ハリを取り戻した肌ではしわが目立ちにくくなります。
頬のコケ
レニスナは頬のコケに対する治療にも使われます。
頬のコケは、加齢によって頬の皮膚や筋肉が衰えることで起こる症状です。レニスナを注入すると、生成されたコラーゲンが肌をボリュームアップさせ、頬のコケを改善する効果が期待できます。
レニスナの特徴
ここからは、レニスナの特徴を解説します。レニスナには主に以下の3つの特徴があります。
- ●安全性の高い成分
- ●効果が長時間持続
- ●副作用のリスクが低い
安全性の高い成分
レニスナの成分は、ヒアルロン酸とポリ乳酸です。
ヒアルロン酸はもともと体内でもつくられる成分であり、時間がたつと自然に分解・吸収されます。
ポリ乳酸はコラーゲン生成後に水と二酸化炭素へ分解されるため、薬剤が体内に残らず体に対する影響を心配せずに使用できます。
また、レニスナは米国FDAと韓国MFDSの承認を受けており、安全性の高い製剤です。
効果が長期間持続
レニスナの大きな特徴の一つは、効果が長期間持続することです。レニスナは1年~2年かけて徐々に体内へ吸収されるため、持続的に効果を発揮します。レニスナは治療の手間を減らしたい方や、効果が長期間続く治療をお求めの方におすすめの治療法です。
副作用のリスクが低い
レニスナやジュベルックは副作用のリスクが比較的低いと言われています。これは粒子の形によるものです。
ポリ乳酸製剤には、ポリDL乳酸とポリL乳酸があります。レニスナ・ジュベルックはポリDL乳酸に分類されます。スカルプトラ・マックームはポリ乳酸L製剤です。
ポリDL乳酸(PDLLA) | ポリL乳酸(PLLA) | |
---|---|---|
粒子の形 | 球形 | 針状 |
製剤の例 | レニスナ・ジュベルック | スカルプトラ・マックーム |
ポリDL乳酸(PDLLA) | |
---|---|
粒子の形 | 球形 |
製剤の例 | レニスナ・ジュベルック |
ポリL乳酸(PLLA) | |
---|---|
粒子の形 | 針状 |
製剤の例 | スカルプトラ・マックーム |
ポリDL乳酸は粒子の形が丸いため、周囲の細胞に対して刺激が少ない設計になっています。そのためレニスナ・ジュベルックは、肉芽形成やしこりといった副作用が起きにくいと言われています。
ジュベルック・ヒアルロン酸との違い
レニスナとジュベルック、ヒアルロン酸との違いを解説します。期待できる効果の違いを知って治療の選択の参考にしてください。
ジュベルックとの違い
レニスナとジュベルックでは期待できる効果、注射する部位が異なります。レニスナとジュベルックの違いをまとめました。
製剤 | レニスナ | ジュベルック |
---|---|---|
期待できる効果 |
|
|
注射する部位 | 皮下組織 | 真皮 |
レニスナ | |
---|---|
期待できる 効果 |
|
注射する 部位 |
皮下組織 |
ジュベルック | |
---|---|
期待できる 効果 |
|
注射する 部位 |
真皮 |
ジュベルックもヒアルロン酸とポリ乳酸を含む製剤ですが、注射できる部位は真皮に限られます。ニキビ跡や毛穴の開きなど、皮膚表面に比較的近い部分の悩みに効果が期待できます。
レニスナは真皮よりさらに深い、皮下組織や骨膜組織に注射する製剤です。ジュベルックよりも皮膚の深部にアプローチするため、深いしわや頬のたるみを改善する効果が期待できます。
ヒアルロン酸との違い
ヒアルロン酸も、しわに対する治療としてよく選択される施術です。レニスナとヒアルロン酸の違いは下記にまとめています。
製剤 | レニスナ | ヒアルロン酸 |
---|---|---|
効果を実感するまでの 期間 |
3ヶ月程度 | 治療後すぐ |
効果の持続期間 | 1年半~2年 | 6ヶ月~1年 |
レニスナ | |
---|---|
効果を実感するまでの期間 | 3ヶ月程度 |
効果の持続期間 | 1年半~2年 |
ヒアルロン酸 | |
---|---|
効果を実感するまでの期間 | 治療後すぐ |
効果の持続期間 | 6ヶ月~1年 |
レニスナとヒアルロン酸の違いは、効果の持続時間です。ヒアルロン酸もしわや肌のボリュームアップに使われ、注射後すぐに効果を実感しやすい治療です。
しかし効果の持続期間は短く、6ヶ月~1年程度が目安となります。
レニスナはヒアルロン酸に比べ、効果を実感するまで時間がかかる治療法です。一方で効果はヒアルロン酸より長く、2年以上持続すると言われています。レニスナに含まれるポリ乳酸がコラーゲンの生成を通して、長期的に肌のボリュームアップを促進します。
レニスナの施術回数や持続時間は?
レニスナは1ヶ月ごとに3回施術を受けることが推奨されています。3回目の後は効果が1年半~2年程持続するため、その間に定期的な施術を受ける必要はありません。
3回目の施術から1年半~2年後に、再度施術を受けると効果が長持ちしやすいとされています。
レニスナの副作用や注意点、ダウンタイム
レニスナの副作用や注意点、ダウンタイムについて解説します。レニスナによる治療を検討している方は、事前に確認しましょう。
禁忌
妊娠中、授乳中の方は使用できません。
注意点
レニスナは安全性の高い治療ではありますが、注意点もあります。
事前にしっかり確認しましょう。
- ●施術を受けてから効果を実感するまでの期間には個人差があります。1ヶ月に1回の頻度で施術をした場合、およそ3回目が目安となります。
- ●施術後に内出血が起こることがあります。多くの場合、内出血は2週間程度で徐々に改善します。
- ●施術当日は、洗顔フォームの使用はお控えください。メイクは翌日から可能です。
- ●表面麻酔を使用しますが、針による治療のため施術中にちくっとした痛みを感じることがあります。
副作用
42名にポリ乳酸製剤を投与した海外の臨床試験によると、数名の患者に紅斑と色素沈着が認められました。症状はいずれも2週間以内に消失したと報告されています。
ダウンタイム
レニスナのダウンタイムはほとんどありませんが、まれに赤み、腫れ、熱感を感じる場合があります。ほとんどの症状は1週間程度で改善します。また、まれに内出血がみられることもありますが、多くは2週間以内に消失するでしょう。
料金
当院でもレニスナによる治療を承っております。レニスナの料金は以下の通りです。
内容 | 料金(税込) | |
---|---|---|
1回 | 2cc | 40,000円 |
4cc | 70,000円 | |
3回コース | 4cc×3回 | 181,000円 |
レニスナは1ヶ月ごとに3回施術を受けることが推奨されています。
よくあるQA
レニスナについて、よくある質問をまとめました。
Q.レニスナは目の下にも使えますか?
レニスナは目の下にも使用できます。ただし、レニスナはほうれい線、マリオネットラインなど深いしわに適している治療です。皮膚表面の症状については、ジュベルックをおすすめします。
Q.レニスナのリスクはありますか?
注射後、皮膚に赤みや内出血が見られることがありますが、多くは一時的な症状です。